先日、ある提言型のニュースサイトで、「富士そばと対女性マーケティング」という記事を見かけたのですが、「これって鵜呑みにしちゃいけないな」と思うような内容でした。
というのは、この記事で「なるほど」って思ってしまって自分のビジネスに取り入れてしまうと、売上アップどころか減らしてしまう業界の方が多いと思ったからです。
別に、この記事を書いた人を攻撃するつもりはないのですが、僕のブログを読んでくれてる人には、「なぜ、ダメなのか?」に気づいて欲しいと思い、記事にすることにしました。
このニュースサイトに書かれていた内容

何冊も本を出版されている、ある不動産投資コンサルタントの方が書かれた記事だったのですが、記事の要点としては
・最近、富士そばや吉野家で若い女性の利用者が増えてきている。
・外食産業に関わらず、女性を呼び込むための努力ができていない企業が多い。
・人口の約半分が女性なのに対策ができていないということは、約半分の見込み客を失っていることになる。
ということで、富士そばなどの外食店なら、もっと女性ウケするようなオシャレな雰囲気づくりのために店内にジャズを流したりした方が良いのではないかというような提案をされていました。
この考え方が、なぜダメなのか?
「富士そば」って言っても、関東の人しかイメージしにくいと思うので、吉野家をイメージしてもらった方がわかりやすいと思うのですが、
吉野家の顧客ってどんな層の人でしょう?
最近は若いカップルを見ることも増えてきましたが、まだまだ女性同士、女性のお一人様での利用はほとんど見ないですから、おそらく利用者の90%くらいは男性だと思います。
単に、男女の比率だけを見てしまうと、「もっと女性にも来てもらえるお店にすれば売上はアップする」と思ってしまうんですけど、ここが問題なんです。
もっと、ターゲットを分析していくと、
吉野家のキャッチコピーの「早い、安い、うまい」に凝縮されているのですが、
- 時間を掛けずにサッと食べられる
- そんなにお金を掛けずにそこそこ美味しいものが食べたい
つまり、現在のメインのファン層は「くつろげる空間」などの雰囲気よりも、コスパを重視する客層なんです。
そこを考えずに、新たな客層(女性)を呼び込むために、間接照明を使ったり、ジャズを流したりと言ったオシャレな空間にしてしまうとどうなるでしょう?
ひょっとしたら多少は女性客が増えるかもしれませんが、逆に出てくる大きな弊害があるんです。
今までは作業着でも気にせず入れてた職人さんとかが、入りにくいお店になってしまうんです。
他のケースを例にしてみるとイメージしやすい
ちょっと、こういう例をあげた方がイメージしてもらいやすいと思ったので、挙げておきます。
【嫌煙家と愛煙家】
「全席禁煙」だったお店が、愛煙家の客層にも来てもらおうと「分煙」にした。
間違いなく、嫌煙家のお客さんの足は遠ざかりますよね。
【ペット同伴可】
飲食店の場合、ペット同伴不可のお店が多いですが、ペット連れの人にも入ってもらおうとして「ペット同伴可」にした。
これも、ペットを飼っていない人からすれば、衛生面の問題が気になりますから、確実にお客さんは減ってしまいます。
イメージしやすいように、ちょっと極端な例を挙げてみましたが、「現在来てくれているお客さんはどんな客層か?」を見失ってしまうと、逆に売上を落としてしまうことになります。
今やっているソフトバンクとのタイアップ企画は正解

今月(2019年2月)、ソフトバンクとのタイアップ企画で「牛丼並盛1杯無料」というのをやっていますが、これは正解だと思います。
その理由は、
●現在の顧客にも喜ばれながら、新しい層にアピールできる
一度も吉野家に行ったことのないソフトバンクユーザーに「無料」ということで、「一度行ってみようかな?」という気にさせることができるのですが、実際にいくらで売られている商品かも知ってもらえるので、「この値段でこの味なら、また来てみよう」という人も多いと思います。
また、「久しぶりに食べた」というような、しばらく足が遠のいていた休眠客の掘り起こしにも繋がります。
●他社(ソフトバンク)とのタイアップ企画なので、競合他社(すき家、松屋など)との価格競争に陥る心配がないので、価格破壊に繋がらない。
この業界(牛丼)は、過去にもありましたが、1社が値下げをすると競合他社も同じように値下げに踏み切ります。
また、たとえキャンペーン的な短期間の企画であっても、他社も同じような企画をぶつけてくるので、終わってみたら「共倒れ」ということにもなりかねません。
●あくまでソフトバンク主体のユーザーへのサービスという主旨の企画なので、無料で提供しても「独占禁止法」に違反しない。
※法定不当廉価(販売)、資本力に物を言わせた「競合つぶし」を規制するための法律です。
まとめ
今回は、現在の顧客層を考えずに新たな層を取ろうとする戦略は失敗するという話をしたんですが、現在の顧客の思考(志向、嗜好)をしっかり分析した上で、新たな客層を増やそうという施策は大事です。
例えば、店内の清潔感や接客態度の改善などであれば、現在のお客さんにも喜ばれながら、尚且、新しい客層にもアピールすることができますよね。
何にでも飛びつくのではなく、まずは現状を分析することから始めて下さいね。
次の記事
投稿者プロフィール

-
プライベートな場面で初めて会った人には、「本当に営業マン?」と言われるしまうくらい話すのが苦手です。
大学時代はロックバンドを組んでベースを担当していたのですが、ナンパもできず、合コンに言ってもほとんど話さず、初めて彼女ができたのは26歳という超奥手でした(汗)
そんな僕でも、26年間、様々な業種でトップセールスなどの実績をあげてきました。
顧客心理さえ解かれば、口下手で人見知りでもトップセールスになれるんです。
ノルマが達成できなくて会社で給料泥棒扱いされている。
ストレスで体も心も崩壊寸前。
そんな、あなたをトップセールスマンにするお手伝いをしています。
【主なメディア掲載】
・読売新聞(オンライン版)
「上司に言い付けられた過酷なノルマを克服する方法」
詳しいプロフィールはコチラ→プロフィール
最新記事4件
営業のコツ2019.11.21【営業トーク】信頼度をアップさせる3つのポイント
営業のコツ2019.10.19売れない営業マンがやってしまうミス「ノットリリースザボール」
ちょっと思ったこと2019.10.18そのタイミングで電話してアポや契約が本気で取れると思ってますか?
営業のコツ2019.10.15RWCスコットランドCEOの会見を例にして「クレーマーへの対処法」を解説
コメントを残す